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かつて、東京の文京区の保育園、そして佐渡の両津小学校のアスベスト被曝事件は有名である。
この両者は、アスベストに子どもが被曝したことを契機にして委員会を作り、アスベストの根絶を目指してがんばっている。 その佐渡の両津小学校の例では、アスベスト健康対策専門委員会を立ち上げて分厚い報告書まで作成している。 そこにアスベストを飛散させた根本的な理由が述べられている。 どの例もそうであるが、まず入札の仕方に大きな原因がある。 南高の場合も安ければよいとする、事前調査を行う設計事務所を選定する入札。 そして、安ければよいとする、解体業者を選定する入札。 「自治体関係者には、発注者としての責任とその影響に対する認識が概して低く、公共事業や公共サービスを提供する過程では、業者任せの馴れ合いが起こりやすい。 行政組織は縦割りで、職員の多くは自分が直接執行する業務に関しては勉強するが、所掌以外の業務にはほとんど関心を持とうとはしない。 むしろ、行政に対する社会の要請を受け止め、その要請に応えるための自分の所属する組織と自己の役割・位置付けを認識し、執行しようとする思考と意志を持つマンパワーを育むことをせず、前例主義に甘んじてきた行政組織も少なくない。 日常と異なる問題への対処は不得手で、与えられた仕事をそつなくこなすことを優先し、問題意識を持ってそれを掘り下げることは忘れが ちだともいえる。 自治体の規模が小さくなるほど、日々の事務に追われ、職員一人が抱える業務範囲とその数も多くなり、広く浅く処理せざるを得なくなるという事情もある。 行政は本来、各種の 法令・要綱・通達等に基づいて執行されるが、公共事業を例に挙げれば、入札審査会の委員は公共事業と建設業を熟知した委員で構成されておらず、「あて職」または「担当」として選任されるのが通例である。」 この構図は数十年前から多分寸分たりとも変わっていない。 だとすると、今回の南高の事故も、他の学校でのアスベスト飛散もまったく収まらないどころか、以前よりも増え続けるのではないかということも想像がつく。 煙の粒子よりも細かい繊維が多いとされているアスベスト。そのようなミクロなものを飛散させずに解体するというのは神業である。それを民間よりもはるかにずさんな行政が安全に除去できるわけがない。 実際に自分が行っている作業を自己監理し、そのずさんさを公表するような会社なり機関があるだろうか。 多かれ少なかれ、現在のずさんな事前調査や工事になる運命にあったと言えるだろう。
by rinkaibu-mirai
| 2009-02-19 22:01
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